ワインの栓といえば、伝統的にコルクが用いられてきました。しかし、近年ではスクリューキャップが急速に普及し、高級ワインでもスクリューキャップ採用のケースが増えています。
なぜ、ワインの栓はコルクからスクリューキャップに変わったのか?その理由を明らかにするために、今回はコルク栓とスクリューキャップそれぞれのメリット・デメリットを比較しながら、スクリューキャップが普及する要因について解説したいと思います。
コルク栓の欠点がスクリューキャップの普及を後押し
ワインの栓は、長らくコルクが主流でしたが、近年、スクリューキャップが急速にシェアを拡大し、高級ワインでも採用されるようになりました。コルク栓の欠点は、主に以下の3つです。
・ブショネ(コルク汚染)の発生率が高い
・液漏れやコルク不良などのトラブルが発生する可能性がある
・開栓が難しい
ブショネとは、コルクに含まれるトリクロロアセトアルデヒド(TCA)という物質がワインに溶け出し、ワイン独特の腐敗臭やカビ臭を発生させる現象です。TCAはコルクの約10%に含まれるといわれており、ブショネが発生する確率は約1%程度とされています。
しかし、それでも高級ワインでもブショネが発生するケースはあり、ワイン愛好家にとって大きな問題でした。
液漏れやコルク不良などのトラブルも、コルク栓の欠点として挙げられます。液漏れは、温度変化や衝撃によって発生することがあります。コルク不良は、コルクが割れたり欠けたりすることで発生します。いずれもワインを劣化させる原因となります。
開栓の難しさも、コルク栓の欠点として指摘されています。コルク栓は、ワインオープナーを使って丁寧に開栓する必要があります。ワイン初心者には、コルク栓をうまく開けるのが難しいという声もあります。
こうしてスクリューキャップは、このコルク栓の欠点を克服した栓として注目されはじめました。スクリューキャップの利点は、主に以下の4つです。
・ブショネが発生しない
・液漏れやコルク不良などのトラブルが発生する可能性が非常に低い
・開栓が容易
・再栓が容易で便利
スクリューキャップは、コルク栓によるTCAが発生しにくく、そのため、ブショネの発生率は非常に低くなります。また、スクリューキャップはコルク栓に比べて丈夫なため、液漏れやコルク不良などのトラブルが発生する可能性も低くなります。さらに、スクリューキャップはコルク栓に比べて開栓が簡単なので、ワイン初心者でも簡単に扱うことができます。そして、開栓後も再度栓を閉めることができます。これが、スクリューキャップの利点です。
環境問題への配慮もスクリューキャップ普及の要因
近年、環境問題への意識の高まりから、天然資源の消費を抑える動きも広まっています。コルクは、コルク樫という樹木の樹皮から作られます。コルク樫の伐採には、森林伐採や土壌汚染などの環境問題が懸念されています。
一方、スクリューキャップは、プラスチックや金属などの人工素材をリサイクルして作られます。そのため、天然資源の消費を抑えることにつながります。
まとめ
このように、コルク栓の欠点を克服したスクリューキャップは、近年急速に普及し、環境問題への配慮も、スクリューキャップの普及を後押ししています。そして特に、オーストラリアやニュージーランドのワインでは、90%以上がスクリューキャップを採用しており、その優位性が認められていることがわかります。
今後も、スクリューキャップの普及はさらに進むと考えられるでしょう。